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​TBP1901

​TBP1901

  1. クルクミンは抗腫瘍作用や抗炎症作用などを有し、様々な動物病態モデルで治療効果を発揮することが報告されている。しかし水に難溶で生体への吸収性が極めて悪いため、動物実験では特殊な投薬法を用いており、ヒトに応用することは難しい。

  2. TBP1901はクルクミンにグルクロン酸が結合したナトリウム塩で新規物質である。水溶性が高いクルクミンプロドラッグで注射が可能である。

  3. TBP1901は生体内でβ-グルクロニダーゼによりクルクミンに変換される。クルクミンの経口投与時の1000倍近い血中濃度を得ることができる。

  4. TBP1901はがん組織や炎症部位で活性化されるβグルクロニダーゼによりクルクミンに変換され薬効を示すことから、正常組織への作用が少なく、安全性が高い薬剤として期待できる。また、TBP1901の投与後がん組織においてクルクミンが長時間存在することを確認しており、腫瘍特異的作用を持つ抗がん剤となり得る。

​対象疾患

1. 抗がん剤

  • 多発性骨髄腫

  • グリオブラストーマ

  • 大腸がん

2. 感染症予防・治療

  • COVID-19

  • サイトカイン放出症候群

3. 変形性膝関節症

​1. 抗がん剤

​・多発性骨髄腫(ボルテゾミブ耐性)

多発性骨髄腫の国内における年間罹患者数は2020年で約8,200人であり、この20年で患者数は倍増している。プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブは多発性骨髄腫に対するキードラッグとして広く用いられているが、70~80%の患者で経過と共に治療抵抗性が現れる。近年多発性骨髄腫に対する新規抗がん薬開発は目覚ましいが、やはり経過と共に治療抵抗性となり、依然治癒を目指すことは困難である。またこれらの新規抗がん薬は感染症など重篤な副作用も伴うため、診断時平均年齢が70歳を超える多発性骨髄腫患者においては、新規薬剤の投与が困難な例も少なくない。このため治療抵抗性が生じにくく、副作用の少ない新規抗がん薬の開発が望まれている。

NOD Scidマウス(メス6週齢)の皮下に1 x 107個のKMS11/BTZ(ボルテゾミブ耐性多発性骨髄腫細胞株)を移植し、移植2週間後に薬剤投与を開始した(Day0)。ボルテゾミブは1mg/kg 2回/週、TBP1901は30mg/kgおよび90 mg/kg 3回/週のスケジュールで、腹腔内に投与した。

その結果、ボルテゾミブはほとんど抗腫瘍効果を示さなかったが、TBP1901 は用量依存的に腫瘍を退縮させることが明らかになった。

​・グリオブラストーマ

脳腫瘍患者は日本国内で毎年約2万人が新規発症すると考えられ、グリオブラストーマ  はそのうち約2,500人を占める。グリオブラストーマは最も悪性度が高いがんの一つであり、5年生存率は15%程度である。グリオブラストーマの標準治療は腫瘍摘出にテモゾロミドと放射線の併用療法であるが、手術による完全な摘出は不可能であり、また治療抵抗性を示す腫瘍も多く、やがては全例死に至る。化学療法では薬剤が血液脳関門を通過しなければならず、グリオブラストーマに効果のある薬剤は極めて限られており、新たな薬剤が望まれている。

国立がん研究センターとの共同研究

グリオブラストーマ細胞株(U87)の定位脳内移植マウスにDay7-28にTBP1901を投与し、そこからの生存期間を比較したところ、コントロール群の生存期間(中央値)は32日、低濃度TBP1901群は39日間、高濃度TBP1901群は59日間であり、TBP1901は生存期間を延長し、その効果は濃度依存的であった。高濃度群では25%の動物が80日以上生存を続けた。

​・大腸がん(オキサリプラチン耐性)

大腸癌の約40%に認められるKRAS変異は大腸癌のキードラッグであるオキサリプラチンレジメンの予後不良因子であることが大規模臨床研究で報告されている。KRAS変異を有する大腸癌は抗EGFR抗体の効果は期待できず、またオキサリプラチンに対しても野生型と比して治療抵抗性であり、新たな治療法開発が求められている。

ヌードマウス(メス6週齢)の皮下にHCT116/p53+Krasダブル変異細胞株を移植し、移植2週間後に薬剤投与を開始した(Day0)。オキサリプラチンは8 mg/kg 2回/週、TBP1901は90 mg/kg 3回/週のスケジュールで、腹腔内に投与した。

その結果、オキサリプラチン耐性細胞株を使った担がん動物実験では、オキサリプラチンはほとんど抗腫瘍効果を示さなかったが、 TBP1901は顕著な増殖抑制効果を示した。

弊社発表論文

Curcumin β-D-glucuronide Exhibits Anti-Tumor Effects on Oxaliplatin-Resistant Colon Cancer With Less Toxicity in Vivo. Cancer Sci.2020 May;111(5):1785-1793

2. 感染症予防・治療

​・COVID-19

国立感染研との共同研究

SARS-CoV-2はTMPRSS2を介して細胞に侵入することが分かっている。そこで、TMPRSS2発現VeroE6細胞にSARS-CoV-2を感染させたところ、クルクミンはウイルス増殖を抑制することが明らかになった。そのEC50は25μMであり、クルクミンは現有医薬品および開発中の薬剤と同程度のSARS-CoV-2感染阻害効果を持つことが示された。

既存医薬品のSARS-CoV-2感染阻害効果

 

  • ファビピラビル(アビガン): EC50 64 μM以上

  • レムデシビル:EC50 10 μM以下

  • フサン:EC50 32 μM

​・サイトカイン放出症候群

COVID-19では8割以上の患者は無症状~軽症で経過するが、15%は咳や息切れを伴う中等度から重度の状態になり、3%は集中治療が必要とされている。COVID-19に限らず新興・再興感染症では中等患者の重症化を防ぎ医療崩壊を止めることが重要であると認識されるようになった。COVID-19における重症化には他のウイルス性肺炎同様、サイトカイン放出症候群(サイトカインストーム)が中心的な役割を果たしていると考えられている。現状、サイトカインストームに対してはステロイドや抗IL6抗体が投与されており一定の効果は得られているが、十分な効果を上げているとは言い難く、より効果的な薬剤が望まれている。

【左図】TBP1901によるLPS誘導性致死の抑制。LPS投与群は2日で全例が死亡したのに対し、LPS+TBP1901投与群は有意に生存率を上げた。

【中図】TBP1901はLPS投与前に処置することで血液中のTNFαタンパク質濃度を有意に抑制した(予防効果)。

【右図】LPS投与0.5時間後、TNFα分泌が既に亢進している時にTBP1901を投与しても(後投与)、血液中のTNFαタンパク質濃度を有意に抑制した(治療効果)。

サイトカインストームの重症化予防および治療の両者に対して効果的な医薬品になり得る

3. 変形性膝関節症

変形性関節症の膝へのTBP1901の直接注入により、変形性膝関節症(OA)モデル動物を用いたin vivo試験でTBP1901がOA症候群を有意に抑制することを確認した。

TBP1901

Sham

Safranin-O/fast-green image and OA score(Tibia)

OARSI score P<0.01

CMG can suppress OA in Tibia at 10th week

Subchondral bone (SB) Cysts and osteophyte volume

P<0.01 in both.

CMG can suppress the cysts in SB at 10th week.